会社案内

さくらさくら®にご感心をお寄せいただき、ありがとうございます。

弊社は1958年、福岡の街の片隅に、編み物教室として創業いたしました。その後、洋裁店から縫製工場、そしてアパレルメーカーへと変遷し、服飾を生業に現在に至ります。

私の幼少期のほとんどは、やがて洋裁店を営み昼夜問わず夢中で働く母のかたわらで、色とりどりの裁断されたハギレを拾い集めたり、スタイルブックに落書きをしたりして過ごしました。
忙しさのあまりほとんど遊んでもらえないため、洋服だけはわがままを言っておねだりし、始業式、参観日などイベントごとにお手製の服を新調してもらいました。私が、雑誌「ドレスメーキング」の中の子供服を指さし「これ作って！」と言えば、必ずと言っていいほど仕立ててくれました。それは母からの愛情を感じる一番幸せなひと時でもあり思い出です。

洋裁店の扉が開き、丁寧に仕立てられた服を手にした喜ぶお客様の笑顔、そして母の笑顔。
時は高度成長期。お見合い、発表会、結婚式など様々な節目に、真新しい衣装に袖を通し、心はずませたおしゃれ好きな女性たち。皆さんをきれいな服で喜ばせたい、と身を粉にして志を持って働いていた母。
自然と道は続き、やがて父の死去に伴い代替わりをいたしました。アパレルの過剰生産や大量廃棄が慣例だったことに疑問を抱いていたなか、先代であり実父の他界は、おみおくりの正装が誕生するきっかけになりました。

奇しくもその後、私自身もがん闘病を経て、見た目の課題や、本人やご家族の心の機微に配慮した「心の平安と命の重さにふさわしい正装」を理念とした制作を続けております。

"さくらさくら、色は匂へど散りぬるを"。日本古来のいろは歌にもあるように、人が生まれ、生き、そして亡くなる最期の日まで、人は衣を纏いながら思い出を育むのかもしれません。

願わくば、衣装を通し生まれた思い出が、色褪せることのないあたたかな記憶となるようお祈りいたします。
お気持ちにふさわしいデザインがございましたら、幸せに思います。